多くの人が「紫外線ケアは夏だけで十分」と考えがちですが、実は冬こそ目にとって過酷な季節であることをご存知でしょうか?

今回は、冬特有の「低い太陽高度」による紫外線の直接的な影響と、東京都心でも湿度20%台を記録する「極度の乾燥」が、目に与えるダメージについてご説明します。
特に年齢が気になってきた方。加齢による涙の質の変化や老眼の始まりとも重なりやすいこの時期、今日から実践できる対策と、眼科受診の必要な時期などをご紹介します。

冬になると目が疲れやすくなるのはなぜ?

冬になると目が疲れやすくなるのはなぜ?

「最近、夕方になると目がしょぼしょぼする」「パソコンの画面が見えにくい」。寒くなると、このような不調を感じることはありませんか? 実は、冬は目にとって「1年で最も過酷な環境」と言っても過言ではありません。その最大の原因は、空気の乾燥と暖房による影響です。

気象データによると、冬の東京では湿度が20〜30%台まで下がることが珍しくありません。
これは砂漠に近い乾燥レベルです。さらにオフィスや自宅ではエアコン(暖房)が稼働しているため、室内の空気はさらにカラカラに乾いています。

私たちの目は常に「涙の膜」で守られていますが、この環境下では涙があっという間に蒸発してしまいます。特に仕事でパソコンやスマホを凝視しているとまばたきの回数が減るため、目の表面が「むき出し」の状態になり、深刻なダメージを日々受けております。

冬の紫外線は夏よりも危険って本当?

冬の紫外線は夏よりも危険って本当?

「紫外線といえば夏」というイメージが強いですが、眼科医の視点から見ると、冬の紫外線にも警戒が必要です。 夏の太陽は頭の真上(高い位置)にあるため、帽子や日傘で紫外線を防ぎやすく、目に入る光の多くは地面からの照り返しです。

しかし、冬の太陽は低い位置(低い角度)から照りつけます。 これにより、紫外線が眉やまつ毛をすり抜けて、真正面から直接目に入りやすくなるという特徴があります。

肌への紫外線量は夏の方が多いですが、「目に直接飛び込んでくる紫外線」に関しては、冬も決して油断できないのです。特に通勤時や、日中の外出時には、太陽の位置がちょうど視線の高さに来ることが多く、無防備な目はダメージを蓄積してしまいます。

その「かすみ目」、老眼のせいだけではないかも?

その「かすみ目」、老眼のせいだけではないかも?

40代〜50代は、目のピント調節機能が低下し始める「老眼(老視)」の世代でもあります。「手元が見えにくい」「夕方にかすむ」といった症状を、「年だから仕方ない」と諦めていませんか?

実は、その不調には「加齢」と「環境(乾燥・紫外線)」のダブルパンチが影響している可能性があります。 年齢を重ねると、涙の量は減少し、涙の蒸発を防ぐ「油分」の分泌能力も低下します(マイボーム腺機能不全など)。

そこに冬の乾燥と紫外線ダメージが加わると、目の表面(角膜)が荒れ、光が乱反射して「かすみ」や「見えにくさ」が強くなるのです。

「老眼が進んだのかな?」と思って眼鏡を作り直しても改善しない場合、実はドライアイなどの目の表面のトラブルが原因であるケースも少なくありません。

冬の目の不調、具体的にどんなサインに注意すべき?

冬の目の不調、具体的にどんなサインに注意すべき?

以下のような症状がある場合は、単なる疲れではなく、目がSOSを出しているサインかもしれません。

  • 常に目がゴロゴロする(異物感がある)
  • 光を以前よりまぶしく感じる
  • 朝起きたときに目が開けにくい、痛い
  • 涙が勝手に出てくる(※乾燥の反動で涙が出る「流涙」の可能性があります)
  • 充血がなかなか引かない

特に40代以降の方は、これらの症状を放置すると、角膜に傷がついたり、感染症にかかりやすくなったりするリスクが高まります。また、慢性的な紫外線ダメージは、将来的に白内障や翼状片(よくじょうへん)といった目の病気のリスクを高める要因にもなります。

今すぐできる!効果的な対策は何?

今すぐできる!効果的な対策は何?

忙しい毎日でも、少しの工夫で目を守ることができます。以下の対策を取り入れてみましょう。

  1. 加湿を徹底する デスク周りに卓上加湿器を置くか、濡れタオルを干すなどして、周囲の湿度を保ちましょう。
  2. 冬でもサングラスやUVカット眼鏡をかける 色の薄いサングラスや、UVカット機能付きの眼鏡なら、通勤やビジネスシーンでも自然に使えます。横からの光も防ぐ形状がおすすめです。
  3. 意識的に「まばたき」をする 集中しているときは、意識して強くまばたきをし、涙を目の表面に行き渡らせましょう。
  4. 目を温める 1日の終わりにホットタオルなどで目を温めると、涙の油分を分泌するマイボーム腺の詰まりが解消され、質の良い涙が出やすくなります。

まとめ

冬は「乾燥」と「低い角度からの紫外線」により、皆さんが思っている以上に目に負担がかかる季節です。

特に40代後半頃から加齢による涙の質の変化も重なり、不調が長引きやすくなります。 「市販の目薬をさしても改善しない。」「夕方になると極端に見えづらい。」といった場合は、専門医にご相談ください。

目の不調は仕事のパフォーマンスや生活の質(QOL)に直結します。違和感を感じたら、どうぞお早めに当院にもご来院ください。涙の量や質など詳しい検査で症状の根本改善を行うことが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q夏と冬で、目の紫外線対策に変えるべき点はありますか?
A: 基本は同じですが、冬は太陽の位置が低く、正面から光が入るため、帽子のつばだけでは防ぎきれないことがあります。UVカット機能のついた眼鏡やサングラスを着用し、目の「正面」を守ることを意識してください。

Q市販の目薬を使っていますが、症状が良くなりません。
A: 市販薬には防腐剤が含まれているものがあり、頻繁に使うとかえって角膜を傷つけたり、乾燥を悪化させたりすることがあります。また、症状の原因が乾燥ではなくアレルギーや感染症の場合もありますので、一度眼科での診察をおすすめします。  

Q部屋の加湿以外に、オフィスでできる乾燥対策はありますか?  
A: エアコンの風が顔に直接当たらないように席の配置を工夫したり、風よけを設置したりすることが有効です。また、ディスプレイの位置を少し下げて「伏し目」で作業すると、目の開きが小さくなり、涙の蒸発を抑えることができます。   

Q目が乾いているはずなのに、涙が出て止まらないのはなぜですか?
A: これは「反射性分泌」と呼ばれる現象です。目が乾いて表面が傷ついたり刺激を受けたりすると、脳が「目を守らなきゃ!」と判断し、一時的に大量の涙を出させます。根本的な乾燥が治っていないサインですので、治療が必要です。

Qどの程度の症状で受診しても良いのでしょうか?
A: 「なんとなく目が疲れる」「少し見えにくい」といった段階でも遠慮なくご受診ください。特に40代以降の不調には、ドライアイだけでなく、緑内障や白内障などの病気が隠れていることもあります。早期発見のためにも、気軽な相談をお待ちしています。