「ものもらいになったら、他の人にうつしてしまうのではないか?」そう心配される方は、今でも多くいらっしゃいます。特に小さなお子さんがいるご家庭では、家族にうつしてしまうのではないかと不安に感じることもあるでしょう。しかし、結論から申し上げますと、ものもらいは他人にうつる病気ではありませんのでご安心ください。今回は、ものもらいに関するこの誤解を解消し、その原因や対処法、予防策について詳しく解説いたします。

ものもらいは本当に他人にうつるのですか?

いいえ、ものもらいは他人にうつることはありません。これはとても大切なポイントです。ものもらいは、その人自身の体調不良や寝不足、疲労などによって免疫力が低下した際に、もともと目の表面や毛穴の周囲に存在する細菌(ブドウ球菌など)が、まぶたの分泌腺や毛根に感染して炎症を起こす病気だからです。外から菌をもらって感染する、あるいは他人へ菌をうつすといった性質のものではありませんので、どうぞご安心ください。一般的な風邪やインフルエンザのように、人から人へ感染するものではないのです。

なぜものもらいはできてしまうのですか?

ものもらいができる主な原因は、ご自身の免疫力の低下にあります。私たちは常に様々な細菌と共存していますが、健康な状態であれば、体の免疫機能がこれらの細菌の増殖を抑え、病気にはなりません。しかし、以下のような要因で体の抵抗力が落ちると、普段は悪さをしない細菌が活発になり、ものもらいを引き起こすことがあります。

  • 寝不足や疲労の蓄積
    体が休まらないと、免疫システムが十分に機能しなくなります。
  • 体調不良
    風邪を引いている時や、病気で体力が落ちている時もできやすくなります。
  • 不規則な生活
    食生活の乱れやストレスなども、免疫力低下の原因となります。
  • 目をこする癖
    不潔な手で目をこすると、まぶたの表面の菌が腺の中に入りやすくなります。

このように、ものもらいは外からの感染ではなく、ご自身の体の内側の状態が大きく関係しています。

ものもらいには種類があるって本当ですか?

はい、ものもらいには大きく分けて二つの種類があります。

  • 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
    一般的に「ものもらい」と呼ばれるのは、この麦粒腫を指すことが多いです。まぶたの縁にある汗腺や脂腺、まつげの毛根に細菌が感染して炎症を起こし、赤く腫れて痛みやかゆみを伴います。今回のテーマである「うつるか?」という疑問の対象は主にこの麦粒腫ですが、繰り返しになりますが、麦粒腫はうつりません。
  • 霰粒腫(さんりゅうしゅ)
    まぶたにあるマイボーム腺という脂の分泌腺が詰まり、慢性的な炎症が起きてしこりができるものです。痛みはあまり伴わないことが多いですが、大きくなると見た目に影響したり、視界を妨げたりすることがあります。霰粒腫は感染症ではないため、もちろん他人にうつることはありません。

どちらのタイプも、目の不快感や見た目の変化を伴うため、気になる場合は眼科を受診することが勧められます。

ものもらいができてしまったらどうすれば良いですか?

ものもらいができてしまった場合、まずは落ち着いて適切な対処をすることが大切です。

  1. 眼科を受診しましょう:自己判断せずに、早めに眼科を受診することをお勧めします。医師は適切な診断を下し、抗菌薬の点眼や内服、場合によっては切開などの治療を提案してくれます。
  2. 目を清潔に保ちましょう:汚れた手で目を触らないように注意し、清潔なタオルで優しく拭くなどして、目を清潔に保つように心がけましょう。
  3. 温めることも有効です:炎症が初期段階の場合や、脂腺の詰まりによるものであれば、清潔な蒸しタオルなどでまぶたを温めることで、血行が促進され、症状の改善に繋がることがあります。ただし、熱すぎるタオルは避け、やけどに注意してください。
  4. 無理にいじらない:腫れている部分を無理に押したり、つぶそうとしたりすることは絶対に避けてください。症状を悪化させたり、他の部位に炎症を広げたりする可能性があります。

ものもらいができてしまった場合、まずは落ち着いて適切な対処をすることが大切です。

ものもらいを予防するにはどうすれば良いですか?

ものもらいの予防には、日頃からの生活習慣と目の衛生管理が重要です。

  • 目の清潔を保つ
    外出から帰宅後や食事の前など、こまめに手を洗う習慣をつけ、不潔な手で目をこすらないようにしましょう。特にアレルギーなどで目がかゆくなる方は、清潔なティッシュなどを使って優しくかゆみを抑えるようにしてください。
  • 十分な睡眠と休息
    体をしっかり休ませ、免疫力を高い状態に保つことが何よりも大切です。
  • バランスの取れた食事
  • 栄養バランスの取れた食事を心がけ、体の抵抗力を高めましょう。
  • ストレスをためない
    ストレスも免疫力低下の原因となります。適度な運動や趣味などでストレスを解消するように努めましょう。
  • アイメイクの徹底した除去
    アイメイクをする方は、寝る前に必ずしっかりとメイクを落とすようにしてください。古い化粧品や汚れたブラシの使用も避けましょう。

これらの予防策を実践することで、ものもらいができるリスクを減らすことができます。

まとめ

「ものもらいは他人にうつる」という認識は誤解であり、実際にはご自身の免疫力の低下が原因で発症する感染症です。そのため、ものもらいになったとしても、ご家族や周囲の方にうつす心配はほとんどありません。大切なのは、体調管理をしっかり行い、目を清潔に保つことです。もしものもらいができてしまった場合は、自己判断せずに眼科を受診し、適切な治療を受けることで、早く症状を改善することができます。日頃から予防策を心がけ、健やかな目を保ちましょう。

よくある質問(Q&A)

Q: ものもらいと結膜炎は同じ病気ですか?
A: いいえ、ものもらい(麦粒腫)と結膜炎は異なる病気です。ものもらいはまぶたの腺の感染症であるのに対し、結膜炎は目の表面(白目の部分とまぶたの裏側)を覆う結膜の炎症です。結膜炎の中にはアデノウイルスなどによって感染し、他人にうつる可能性のあるものもありますが、ものもらいはうつりません。

Q: ものもらいができやすい体質はありますか?
A: はい、体質的に皮脂の分泌が多い方や、アレルギー体質で目をこすりがちな方は、ものもらいができやすい傾向にあると言われています。また、糖尿病などの基礎疾患がある方も、免疫力が低下しやすいため、できやすい場合があります。

Q: コンタクトレンズを使用している時にものもらいになったらどうすれば良いですか?
A: ものもらいができている間は、コンタクトレンズの使用を中止し、メガネで過ごすことを強くお勧めします。コンタクトレンズを装着すると、炎症が悪化したり、レンズに細菌が付着して清潔に保てなくなったりするリスクがあります。症状が改善し、医師の許可が出てからコンタクトレンズの使用を再開してください。

Q: ものもらいは自然に治りますか?
A: 軽度のものであれば、自然に治ることもあります。特に麦粒腫は、まぶたの奥に膿が溜まって破裂し、膿が出た後に症状が軽快することがあります。しかし、症状が悪化したり、痛みが強い場合、また霰粒腫のようにしこりが残る場合は、眼科を受診して適切な治療を受けることが重要です。

Q: ものもらいは再発しやすい病気ですか?
A: はい、一度ものもらいができた方は、体の免疫力が低下すると再発しやすい傾向があります。そのため、予防の項目で述べたように、日頃から規則正しい生活を送り、目の衛生管理を徹底することが、再発を防ぐ上で非常に重要となります。

院長より皆さまへ

ものもらいが、他人に移ると思っている方が今でも結構多いようです。
ものもらいは、その人が寝不足や疲れ、体調不良によって免疫力が低下したときに元来、目の表面に存在する細菌が引き起こす感染症です。
他人から移されたり他人に移すものではありませんのでご安心ください。