ファッションアイテムとして人気のカラーコンタクトレンズ(カラコン)。手軽に目の印象を変えられる便利なアイテムですが、「カラコンは目に悪い」という話を耳にしたことはありませんか?実は、不適切な使用やケアによって、深刻な目のトラブルを招くリスクがあるのです。今回は、カラコンが目に与える悪影響の原因と、それを防ぐための正しい使い方について、専門的な視点から詳しく説明いたします。
なぜカラコンは目に負担をかけるのですか?

カラコンが目に負担をかける主な原因は、その構造的な特徴と不適切な取り扱いにあります。通常のコンタクトレンズと比較して、カラコンはレンズに色をつけるための着色層が挟み込まれています。この構造は、レンズの厚みを増し、目が呼吸するために必要な酸素の透過を妨げる原因となります。
また、レンズのサイズが目に合っていなかったり、洗浄不足で不衛生なまま使用したりすることも、大きなトラブルの原因となります。特に、インターネットなどで安易に購入し、眼科医の検査を受けていない場合は、自分の目に合わないレンズを選んでいる可能性が高く、非常に危険です。
カラコンで起こりやすい目のトラブルにはどんなものがありますか?

カラコンの不適切な使用によって、以下のような目のトラブルが起こりやすくなります。
- 角膜の酸素不足
酸素が不足すると、角膜が呼吸できなくなり、充血や炎症を引き起こします。重症化すると、角膜に新しい血管が伸びてくる「角膜血管新生」が起こり、視力低下に繋がることもあります。 - 感染症
不衛生なレンズや間違ったケア方法により、レンズに付着した細菌が目に感染し、結膜炎や、最悪の場合「角膜潰瘍」といった重篤な病気を引き起こすことがあります。 - ドライアイ
レンズが涙液の流れを妨げることで、目が乾燥しやすくなり、ゴロゴロとした異物感や目の疲れを感じることがあります。 - アレルギー反応
ごく稀ですが、レンズの素材や着色剤にアレルギー反応を起こし、目の強いかゆみや充血が生じることがあります。
安全にカラコンを使用するための正しいケア方法は?

カラコンによるトラブルを防ぐためには、正しいケアと使い方を徹底することが何よりも重要です。
- 使用期限の厳守
ワンデー、2ウィーク、マンスリーなど、レンズごとに定められた使用期限を必ず守りましょう。 - 適切な洗浄と消毒
再利用するタイプのカラコンは、専用の洗浄液を使って正しく「こすり洗い」を行い、細菌の繁殖を防いでください。 - 装着時間の制限
目に負担をかけないよう、装着時間は1日8時間以内を目安にし、帰宅後はすぐに外しましょう。 - レンズを触る前の手洗い:レンズを扱う前には、必ず石鹸で手を洗い、清潔な状態に保ってください。
- 定期的な眼科検診
自覚症状がなくても、定期的に眼科医の診察を受け、目の健康状態やレンズが目に合っているかを確認してもらいましょう。
目の不調を感じた場合、どうすれば良いですか?

カラコンを装着中に、少しでも目の痛み、強いかゆみ、充血、かすみ、異常な分泌物などの違和感を感じた場合は、すぐにレンズの使用を中止してください。そして、できるだけ早く眼科医の診察を受けることが大切です。自己判断で市販の目薬を使用したり、無理に使い続けたりすることは、症状を悪化させる原因となりますので絶対に避けてください。
目に合わないコンタクトレンズを使用するとどうなりますか?

カラコンは、目の健康を第一に考えた上で、正しい知識を持って使用すれば、おしゃれを楽しむための素晴らしいツールとなります。しかし、安易な購入や不適切なケアは、取り返しのつかない目のトラブルに繋がる可能性があります。大切なのは、レンズの特性を理解し、必ず眼科医の指導のもとで自分に合ったレンズを選び、日々のケアを徹底することです。目の健康を守りながら、安全にカラコンを楽しみましょう。
まとめ
コンタクトレンズの装用年齢に明確な決まりはありませんが、お子さんの目の健康を守るためには、自己管理能力がとても大切です。小学生からでも装用は可能ですが、まずは眼科医に相談し、適切な検査を受けることがコンタクトレンズを安全に使い始めるための第一歩となります。
よくある質問(Q&A)
Q:度ありのカラコンも眼科医の処方は必要ですか?
A: はい、度あり・度なしにかかわらず、カラコンは高度管理医療機器に分類されます。目の状態やカーブに合っていないレンズはトラブルの原因となるため、必ず眼科医の処方を受け、指示通りに使用することが法律でも定められています。
Q: カラコンの色素が目に直接触れることはありますか?
A: 安全なカラコンは、色素がレンズ素材の中に挟み込まれているため、直接目に触れることはありません。しかし、安価な粗悪品の中には、色素が直接目に触れる構造のものもあり、重大なトラブルを引き起こすリスクがあります。
Q: 装着時間や使用期限を守っていれば、眼科検診は不要ですか?
A: いいえ、自覚症状がなくても、レンズによる目の負担は少しずつ蓄積している可能性があります。目のトラブルを未然に防ぐためにも、定期的な眼科検診は必ず受けるようにしてください。
Q: 目のトラブルが起きたら、まずどうすれば良いですか?
A: まずはすぐにカラコンの使用を中止し、メガネに切り替えましょう。そして、目に痛みや違和感がある場合は、迷わず眼科を受診してください。
Q: カラコンはどんなお店で買うのが安全ですか?
A: 眼科医の処方箋に基づいて、医療機関や専門のコンタクトレンズ販売店で購入するのが最も安全です。インターネットで購入する場合も、必ず眼科医の処方を受け、BC(ベースカーブ)やDIA(直径)といった数値を正しく把握した上で、信頼できる正規の販売店を選びましょう。
院長より皆さまへ
カラーコンタクトによる障害や定期検査のないインターネット購入によるコンタクトレンズのトラブルが非常に多く見られます。コンタクトレンズは、基本的に私たち眼科医のもとで処方されなければならない医療品となります。このようなトラブルの怖い所は、患者さまが痛みなどの自覚症状を感じ始めるとかなり強い角膜障害が存在すると言うことです。逆に言うとこれらを未然に防ぐには定期的な眼科受診が極めて重要となります。
心当たりのある方は気兼ねなく眼科を受診して下さい。
眼科医からのお願いです。
この記事の監修医師
