秋は過ごしやすい季節ですが、「なんだか目が重い」「かすむ」「頭が痛い」と感じることはありませんか?それは単なる目の使いすぎではなく、「秋バテ」と呼ばれる季節の変わり目の体の不調が、眼精疲労として現れているのかもしれません。
今回は、秋に増えがちな眼精疲労の隠れた原因と、その症状を和らげるための具体的な対策について、最新情報を交えながら詳しくお伝えいたします。
「秋バテ」と眼精疲労、どう関係しているのですか?

秋は日中と朝晩の気温差が大きく、台風などの気圧の変化も頻繁に起こる季節です。
私たちの体は、これらの急激な環境変化に対応しようと、自律神経(交感神経と副交感神経)をフル稼働させます。しかし、その負担が大きすぎると自律神経のバランスが乱れ、「秋バテ」と呼ばれる倦怠感や体調不良を引き起こすことがあります。
目のピント調節を担う「毛様体筋」や、瞳孔の大きさを調節する「虹彩」も自律神経によってコントロールされています。そのため、自律神経のバランスが崩れると、毛様体筋の働きが悪くなりピントが合いにくくなったり、光をまぶしく感じたり、まぶたがピクピクと痙攣したりといった目の症状が現れやすくなるのです。
「疲れ目」と「眼精疲労」はどう違うのですか?

「疲れ目」とは、一時的に目を使いすぎたことによる疲労で、十分な休息や睡眠をとれば回復する状態を指します。一方、「眼精疲労」は、休息をとっても目の痛み、かすみ、乾き、重さといった目の症状が改善せず、さらに頭痛、肩こり、吐き気、倦怠感といった全身症状まで伴う病的な状態を言います。
秋の眼精疲労は、目の使いすぎに加えて、秋バテによる自律神経の乱れが症状を慢性化・重症化させる一因となっていることが多いです。
秋の生活習慣が眼精疲労を悪化させるって本当ですか?

はい、本当です。「読書の秋」「芸術の秋」という言葉があるように、夜が長くなる秋は、スマートフォン、PC、読書など、近くを見る作業に没頭する時間が増えがちです。これにより、目のピント調節を行う毛様体筋が長時間緊張状態に置かれ、眼精疲労が起こりやすくなります。
また、デジタルデバイスから発せられるブルーライトは、交感神経を刺激し、睡眠の質を低下させる可能性があります。質の良い睡眠は自律神経のバランスを整える上で非常に重要ですので、睡眠不足も眼精疲労を悪化させる要因となります。
眼精疲労の症状を和らげるにはどうすれば良いですか?

眼精疲労の症状を和らげるためには、以下の対策が有効です。
- 目を温める
蒸しタオルなどで目元を温めると、目の周りの血行が促進され、緊張した毛様体筋がリラックスします。また、目の乾燥を防ぐ涙の油分を分泌するマイボーム腺の働きも活発になります。 - 適切な休憩をとる
デジタルデバイスや読書などで目を酷使する際は、1時間ごとに10~15分程度の休憩を挟み、遠くを見るなどして目を休ませましょう。 - 作業環境を見直す
適切な照明を確保し、画面と目の距離を十分に保ち、モニターの高さや角度を調整して負担の少ない姿勢で作業することが大切です。 - 意識的なまばたき
集中しているとまばたきの回数が減りがちです。意識的にまばたきを増やし、目の乾燥を防ぎましょう。 - 自律神経のケア
質の良い睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス解消を心がけ、自律神経のバランスを整えることが根本的な解決につながります。
まとめ
秋の眼精疲労は、単なる目の使いすぎだけでなく、季節の変わり目特有の「秋バテ」による自律神経の乱れが大きく関係しています。
目の痛みやかすみだけでなく、頭痛や肩こりといった全身症状を伴う場合は、単なる目の疲れではない可能性があります。目元を温めるセルフケアや作業環境の見直しはもちろん、自律神経を整えるための全身的なケアも取り入れることで、秋の眼精疲労を効果的に改善し、快適な日々を過ごせればと思います。
症状が改善しない場合は、眼科専門医に相談をお願いします。
よくある質問(Q&A)
Q:眼精疲労とドライアイは関係がありますか?
A: はい、大いに関係があります。眼精疲労の原因の一つとしてドライアイが挙げられますし、長時間の集中作業によるまばたきの減少はドライアイを悪化させ、それがさらに眼精疲労を引き起こすという悪循環になることがあります。
Q:市販の目薬で眼精疲労は改善できますか?
A: 市販の目薬には、目の疲れを和らげる成分やピント調節機能を改善する成分などが含まれているものもあります。一時的な症状の緩和には役立つかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。症状が続く場合は、眼科で診察を受けることが重要です。
Q:スマートフォンやPCのブルーライト対策は必要ですか?
A: ブルーライトは目の疲れの原因の一つと考えられています。特に夜間にブルーライトを浴びすぎると、睡眠の質に影響を与えることがあります。ブルーライトカット眼鏡やフィルムの活用、夜間の画面輝度調整、就寝前のデジタルデバイス使用を控えるなどが対策として有効です。
Q:運動不足も眼精疲労に関係しますか?
A: はい、関係します。適度な運動は血行を促進し、ストレスを解消し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。運動不足は全身の血行不良や自律神経の乱れにつながり、眼精疲労を悪化させる可能性があります。
Q:眼精疲労が悪化するとどうなりますか?
A: 眼精疲労が悪化すると、目の症状だけでなく、頭痛、肩こり、吐き気、めまい、全身の倦怠感などの全身症状が慢性化し、日常生活に支障をきたすことがあります。また、自律神経失調症やうつ病など、他の病気につながる可能性も指摘されていますので、早めの対処が重要です。