今回のテーマは、目にも関係する高血圧と糖尿病に関する記事です。自覚症状のない高血圧と糖尿病、そのリスクについてご説明いたします。

なぜ高血圧や糖尿病は「サイレントキラー」と呼ばれているのですか?

高血圧糖尿病は、初期の段階ではほとんど自覚症状が現れません。そのため、「特に体調が悪いわけではないから大丈夫」と放置してしまう方が多いです。しかし、症状がないからといって、体の中で何も問題が起きていないわけではありません。この目に見えない進行性から、これらの病気は「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれています。

血圧が高いままだと、体の中で何が起こっているのですか?

高血圧の状態が続くと、血管の内側に常に高い圧力がかかり続けます。この圧力によって、血管の壁が次第に厚く硬くなり、弾力性が失われていくのです。これを動脈硬化といい、血管がもろく、詰まりやすくなってしまいます。この状態が続くと、心臓や脳などの重要な臓器に十分な血液が届かなくなり、深刻な病気のリスクが高まります。

血糖値が高い状態が続くと、どんな影響があるのですか?

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が増えすぎてしまう病気です。血糖値が高い状態が長く続くと、全身の血管や神経が少しずつ傷つけられていきます。これにより、体中のさまざまな細胞が本来の働きを失い、特に細い血管が集中している目や腎臓、手足の神経などに大きなダメージを与えてしまいます。これも自覚症状が出にくく、気づいた時にはかなり進行しているケースが少なくありません。

高血圧と糖尿病を放置すると、どんなリスクがありますか?

高血圧糖尿病を放置することは、非常に危険です。これらの病気は、単独でもリスクが高いのですが、合併するとさらに悪影響を及ぼし、様々な病気を引き起こす原因になります。代表的なものとして、心筋梗塞や狭心症といった心臓病、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患、さらには腎不全、失明、手足の切断に至るリスクが高まります。

普段の生活を節制することがなぜ大切なのですか?

自覚症状がないからこそ、日頃からの生活習慣を意識することが、これらの病気を予防する上で最も重要です。食生活の乱れや運動不足、過剰な飲酒、喫煙、睡眠不足、ストレスなどは、血圧や血糖値を上げる大きな原因となります。普段の生活を少しずつ見直すことで、病気の進行を止め、健康な未来を守ることができるのです。

今日からできる予防法にはどんなものがありますか?

高血圧と糖尿病を予防し、進行を抑えるためには、以下の対策が効果的です。

  • 食生活の改善
    野菜や食物繊維を多く摂り、塩分や糖質、脂質の摂りすぎに注意します。
  • 適度な運動
    ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で継続できる運動を見つけましょう。
  • 十分な睡眠と休養
    ストレスを溜めず、質の良い睡眠を確保することが大切です。
  • 禁煙・節酒
    喫煙は血管を収縮させ、飲酒は血糖値を上げやすいです。控えることでリスクを減らせます。

まとめ

高血圧糖尿病は、初期には自覚症状がなくても、体の中で病気が進行している可能性があります。しかし、正しい知識を持ち、日頃から生活習慣を意識して節制することで、リスクを大きく減らすことができます。自分の体の声に耳を傾け、積極的に健康管理を始めることが、未来の自分を守る第一歩となります。

よくある質問(Q&A)

Q:健康診断で血圧や血糖値が高いと指摘されました。どうすればいいですか?
A: まずは医療機関を受診し、医師の診断を仰ぐことが重要です。診断結果に基づいて、適切な治療や生活指導を受けることで、病気の進行を抑えることができます。

Q:毎日どれくらい運動すれば効果がありますか?
A: 毎日30分程度のウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられる有酸素運動が推奨されています。運動習慣がない方は、1日10分から始めて徐々に時間を増やすのが良いでしょう。

Q:予防に効果的な食事はありますか?
A: 食事では、塩分を控えめにし、野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を積極的に摂ることが大切です。また、魚の摂取は血液をサラサラにする効果も期待できます。

Q:薬を飲み始めたら、もう治らないのですか?
A: 薬は病気の進行を抑え、合併症のリスクを下げるための重要な治療法です。完治ではなく、うまくコントロールしていくことが大切です。医師の指示に従い、生活習慣の改善と並行して治療を続けることが推奨されます。

Q:高血圧や糖尿病は遺伝しますか?
A: 遺伝的な要因も影響すると言われています。ご家族に高血圧や糖尿病の方がいる場合は、より一層、日頃からの健康管理に気を配ることが大切です。

院長より皆さまへ

高血圧や糖尿病は、患者さんには、まったく自覚症状がありません。
そこが、一番の問題です。そのままほおっておくと身体のあちこちの血管が不具合を起こし、ある日とつぜん脳梗塞や心筋梗塞、眼底出血などひどい合併症を引き起こします。多くの患者さんが、そういった自覚症状が出始めてから治療に積極的に取り組みますが、実はそれでは遅いのです。
普段から節制し、病気から逃げずに自ら積極的に病気に立ち向かう。
それが、何よりも大切になります。