お子さまが持ち帰った学校の視力検査結果に、思わずドキッとされたお母さまも多いのではないでしょうか。「C」や「D」の判定は、視力低下が疑われるサインです。しかし、一度の検査で安易に「メガネが必要だ」と判断するのは時期尚早です。子どもの近視はさまざまな要因が影響するため、専門的な検査で総合的に判断することが大切です。今回は、お子さまの視力低下に悩むお母さま方に向けて、正しい知識と眼科での精密検査の重要性について説明いたします。
学校の視力検査だけでメガネは決めても良いですか?

いいえ、学校の視力検査はあくまでスクリーニング(ふるい分け)であり、メガネの必要性を判断するには不十分です。お子さまの視力は、その日の体調や集中力、検査環境などによって大きく変動することがあります。そのため、一度や二度の検査結果だけで近視の程度やメガネの必要性を判断するのは難しいのです。
もし学校検診で視力低下が疑われた場合は、必ず眼科を受診して、専門的な検査を受けることを強くお勧めします。眼科では、お子さまの目の状態を詳細に調べ、本当に近視が進んでいるのかどうかを正確に判断することができます。
子どもの近視に影響する因子にはどんなものがありますか?

子どもの近視は、さまざまな因子が複雑に絡み合って進行すると考えられています。
- 生活習慣
ゲーム機やスマートフォンの長時間使用、近くで本を読むなどの生活習慣が近視の進行に影響を与えます。近くを見続けると目のピント調節機能が緊張し、目に負担がかかる状態になります。 - 遺伝
ご両親のどちらか、または両方が近視である場合、お子さまも近視になりやすい傾向があります。 - 屋外活動
屋外で過ごす時間が短いと近視が進みやすいという研究結果が国内外で報告されています。
これらの因子を総合的に考慮し、生活習慣の改善と併せて適切な対策を講じることが重要です。
眼科での精密検査はどのように行われますか?

眼科での精密検査は、通常の視力検査とは異なり、より正確な目の状態を把握するために行われます。
- 目の調節機能の確認
「調節緊張」と呼ばれる、近くを見すぎたことによる一時的な視力低下かどうかを判断するために、点眼薬を使用する場合があります。これにより、目の緊張を和らげ、本来の屈折状態を正確に測定します。 - 屈折検査
オートレフケラトメーターという機械や、検眼レンズを使って、近視、遠視、乱視の度数を詳細に測定します。 - 眼底検査
目の奥にある網膜や視神経に異常がないかを確認します。
これらの検査結果を総合的に判断し、本当にメガネが必要かどうか、また適切な度数はどのくらいかを決定します。
メガネをかけるメリットとデメリットは?

お子さまにメガネをかけさせることに抵抗を感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、メガネは目の負担を減らし、お子さまの生活をより安全で快適にするための大切なツールです。
- メリット
黒板の文字や遠くの景色がはっきり見えるようになり、学習意欲や集中力が向上します。また、遠くが見えることで、登下校中や体育の授業中など、日常生活における危険を未然に回避し、お子さまの安全を守ることに繋がります。 - デメリット
度が合っていないと目の疲れや頭痛を引き起こす可能性があること、また破損や紛失のリスクが挙げられます。定期的な眼科検診と適切なメガネ選びで、これらのデメリットは十分にカバーできます。
視力低下を防ぐために、家庭でできることは?

お子さまの近視の進行をできるだけ抑えるために、ご家庭で以下のことを実践してみましょう。
- 近くを見る時間を減らす
スマートフォンやゲーム、読書の時間を1日1時間程度に制限しましょう。 - 適切な環境を整える
読書や勉強をする際は、明るい場所で、正しい姿勢を保つように促しましょう。 - 屋外での活動を増やす
近視予防には、屋外で過ごす時間が有効とされています。積極的に外で遊ぶ時間を確保してあげましょう。 - 目の体操と休息
遠くと近くを交互に見る目の体操や、休憩をこまめに取り入れるように促しましょう。
これらの取り組みは、目の健康を維持し、近視の進行を遅らせる上で非常に重要です。
まとめ
学校の視力検査でお子さまの視力低下が疑われた場合でも、まずは落ち着いて眼科医の診断を仰ぐことが大切です。近視の程度やメガネの必要性は、さまざまな要因を総合的に判断する必要があります。適切なメガネを正しく使用することは、お子さまの目の負担を減らし、安全な生活を送るために非常に有益です。ご家庭での生活習慣の見直しと、定期的な眼科検診を組み合わせることで、お子さまの健やかな目の成長をサポートしていきましょう。
よくある質問(Q&A)
Q: メガネをかけると、近視が進むと聞いたのですが本当ですか?
A: いいえ、そのような科学的根拠はありません。むしろ、度数が合わないメガネや、裸眼で無理に物を見ようとすることの方が、目に負担をかけて近視が進む可能性があります。適切なメガネは、目の緊張を和らげ、健康な状態を保ちます。
Q: 視力回復トレーニングは効果がありますか?
A: 一時的な目の疲れを和らげる効果は期待できますが、近視を根本的に治療する科学的な根拠はまだ確立されていません。目のピント調節機能を休ませる目的で行うことは有効です。
Q: どのようなタイミングでメガネの度数を変えるべきですか?
A: お子さまの視力は成長とともに変化します。見えにくさを訴えたり、眼科で視力低下を指摘されたりした場合は、度数の見直しが必要です。目安として、年に1回は定期的に眼科を受診して、目の状態を確認することをお勧めします。
Q: メガネをかけるのは授業中だけで良いですか?
A: 眼科医としては、授業中だけでなく、登下校時や体育の授業中など、常にメガネをかけることをお勧めします。遠くがはっきり見えることで、周囲の状況を正確に把握でき、思わぬ事故を防ぐことに繋がります。
Q: メガネの代わりにコンタクトレンズは使用できますか?
A: はい、コンタクトレンズを使用できる年齢になったら選択肢の一つとなります。しかし、コンタクトレンズは直接目に装着するため、正しい知識とケアが不可欠です。眼科医と相談し、使用方法や注意点をしっかり理解した上で使用してください。
院長より皆さまへ
初めてメガネをかけるお子さまを持つお母さま方から(授業中だけかければ良いですか?)と聞かれることが良くあります。眼科医としては、学校のみならず登下校及び自転車などに乗った時の子供たちの安全を守るためにできれば、常時眼鏡装用をおすすめいたします。
常にメガネをかけることによって近視が進むと言うことは100%ありません。
むしろそれのほうが目の健康にとっては好ましい状態にあります。